– 完璧なお母さんはいない –

認定NPO法人カンガルーの会 理事 前野當子

子育て中のお母さん。「子育ては楽しいですか?」と聞かれたら、「楽しくない」とは答えられないですよね。
お母さんだから、「子どもといて楽しくないはずがないでしょう」と親力を疑われそうで本音が語れないですよね。お母さんという冠は重たい。
でも子育てしていてしんどい時はあるし、子どもの自棄が受け入れられない時はあるし、ちょっとだけでも子どもの傍から離れて、ゆつくりと息を吸いたいと思うときはありますよね。
幼い子どもを連れた子育ては、コンビニのような24時間営業と言われています。交代者がいない24時間は
どんなに頑張っても心も身体も限度を超えます。当たり前のことなのです。誰一人として完璧なお母さんはいません。
あなたの育児環境の改善のお手伝いはできないけど、心の中に溜まっている疲れ(心のガス)を抜くお手伝いができます。
こどもが安心してお母さんに甘え、お母さんも子どもがいとおしと思う親子の関係性が安定するためには、お母さんの心が幸せであることが絶対的な最優先の条件であると考えています。
今どこかの福祉施設や機関・遊び広場などと関わっていられるとしたら、、私たちをはじめスタッフの皆さんが
人として信頼し合える関係の基に、何気ない会話と雑談の中から、気持ちが響き合える向かい合いでおかあさんの心のガス抜きのお手伝いができればと思っています。
今まだ家庭から出かけていく事が無理な方も、だれかに声を出すだけでも気が軽くなることが生まれてきます。
子育ては大変な大きなエネルギーのいる世界です。充電は一人では少ししかできません。一緒にお話をしましょう。充電に向かってね。

– 新型コロナ禍での子育て –

認定NPO法人カンガルーの会 理事長 澤田敬
2020年9月1日

本年2月より、新型コロナウィルスの流行で、世界中大変なことになっています。日本でも様々な社会問題が噴き出ています。
子どもを取り巻く環境も随分変化してきました。この夏は猛暑の中マスク着用しての外出、家族旅行も難しくなり、家に閉じこもることが多くなりました。その結果DV、虐待が増加したとも言われています。
伝染力が非常に強いウィルスのようですが、今のところ予防接種はまだできていないし、ウィルスを殺す特効薬もありません。新型コロナ問題はしばらく続くと思われます。感染予防が大切だと思います。
外から帰った時は、手洗いをきちんとします。アルコール消毒液がなくても、流水でよく洗うことです。腕時計ははずし、爪は短く切り、手首の上の方より手先に向かって、手掌、手背、それぞれの指間を丁寧に洗ってください。指輪はできるだけ使わない方が良いと思います。うがいを十分にしてください。うがい薬を使わなくても、水道の水で丁寧にすれば口内ウィルスは洗い流され、ほとんどいなくなります。仕事から家に帰りすぐに子どもを抱っこすることは控え、まずお風呂に入り、体についているウィルスを洗い流してから、子どもと一緒に入ってください。
お母さん・お父さんは人と接する時、人ごみの中に行く時は必ずマスクをつけてください。一人で外出する時、自転車に乗る時、一人で車を運転する時など、人混みでない場所では、まだまだ残暑が続き、熱中症の心配があるため、必要に応じてマスクをつけて下さい。特に子どもは熱中症になる危険性が高いため注意してください。水分を十分にとってください。大量の汗をかいたとき、塩分も取ってください。経口補水液、漬物、塩飴でもよいと思います。

保育現場では保育士さんが常時マスクをしています。乳児に話しかける時もマスクをしています。
赤ちゃんが、笑ったりする表情が少なくなる情緒発達の遅れが目立つようになりました。離乳食を噛まずに飲み込む子どもも多くなってきました。
マスクをすると目は見えますが口の動き、表情筋の動きが見えないため、心を感じ取ることが難しく、園でのお母さんである保育士さんとの心の響き合いがうまくできなくなります。
また表情筋の動きが見えなく、目だけを見ると恐怖を感じることもあります。
また離乳食を始める場合、保育士さんが「あむ、あむ」と噛むことを見せて教えます。保育士さんがマスクをしていると保育士さんの口が見えないので、噛むことを覚えないのだと考えられます。
アメリカの精神科医・精神分析医であるエムディは情緒応答性という言葉を使っています。わかりやすく言えば、赤ちゃんの気持ちに寄り添って、お母さんが上手に反応を返してあげることで、赤ちゃんは自分自身や人を信頼する力を身につけ、人と人との関係を作る土台が生まれるということです。顔面の筋肉を表情筋と言います。
人間は自分の心を言葉と目、口、表情筋で相手に伝えます。
特に赤ちゃんは言語が発達していないため、お母さん・お父さんの顔を見て心を感じ、心が染み込み、自分の心を作ります。幼児でも同じです。お母さん・お父さんは子どもが悪いことをすると怒ります。
子どもは言葉よりも、顔面の表情筋の動きを見て、お母さん・お父さんの怒っている心の中を感じ、悪さを止めます。
子どもとお母さん・お父さんの関係の基本は、言葉でなく、心の響き合いです。子どもはお母さん・お父さんの目、口、顔面の表情筋の動きを見てお母さん・お父さんの心を感じ、交流をしています。
新型コロナ感染防止のため、保育士さん達がマスクをはずすことはできません。
夕方保育園から家に帰った時、お母さん・お父さんは原則としてマスクを着けず、目を合わしての話しかけを、園で保育士さんができなかった分まで多くし、取り戻すようにしてください。
また離乳食を与える時、笑顔で話しかけて口を動かし、噛むことを教えて下さい。
新型コロナ問題が起り、赤ちゃんに対してお母さん・お父さん、そして関わる人が笑顔で話しかけることが非常に大切であることを教えられました。